子宮内膜検査、卵管検査と外科治療

今回は、IVF治療のクライマックスの一つでもある、『着床』に関わるお話です。
━━━(`・д・´)ノ━━━!!!!

新鮮移植、凍結移植に関わらず移植に最重要な二つは、
・内膜の厚さが8mm-12mm、尚且つ三本線模様 (trilaminar)であること
・ホルモン値 (E2が高くprogesterone ベースが低い)こと
です。( ..)φメモメモ

・・・ですが、やはり患者さんの中には、自然周期、ホルモン療法周期に関わらず、
内膜の状態がなかなか理想的にならないケースの方も沢山いらっしゃいます。
そういった状態を確認するために、以下の検査方法があります。

scientist in laboratory

内膜検査

《超音波》
安易度99% 信頼度80%
最も簡単な方法です。
もし、内膜に水や血が溜まっていてしまうと、その部分が真っ黒に写ります。
その場合、「状況が悪い」と判断されることが多く、
担当医師の判断で移植をキャンセルさせられる可能性が大きいです。
また、この方法である程度の大きさであれば、
内膜の筋腫やポリープが見つかる時も多いですが、
小さい場合には見つからない逃す時もあります。

《SIS》 – Saline-Infusion Sonogram
安易度85% 信頼度90%
移植の周期には行いませんが、移植準備の段階で検査します。
超音波検査時に生理食塩水を子宮内に注入し、超音波で確認をします。
(ポリープや筋腫があれば、形がくっきりと写ります)
着床を邪魔するものの確認ができたら子宮鏡で摘出することになります。
*人によっては生理食塩水を注入する際にが痛みを感じる事があります。

《Hysteroscopy:子宮鏡検査》
安易度70% 信頼度100%
子宮鏡、大腸鏡、胃カメラの様に麻酔をして行う場合が多く、
子宮頸から繊維カメラを挿入し、
子宮内膜をカメラでリアルタイムで移しながら検査します。
着床を邪魔する筋腫やポリープが確認できたら、
カメラの先端から吸引して取り除いたり、その場で摘出することが出来ます。
また、子宮鏡で生理食塩水を注入し、
その手応えで卵管の詰まりがあるかないかも知ることができます。

《HSG:子宮卵管造影》 – Hysterosalpingography
安易度70% 信頼度90%
✖︎線検査で白く写る検査液を子宮内に注入し卵管の通りを白く写す方法です。
卵管がちゃんと通っている事を確認できるのと同時に
子宮内膜の形も移してくれるので、
ポリープや筋腫があれば、その部分だけが白く染まらず現れることがあります。
こちらもSIS同様に、
着床を邪魔するものの確認ができたら子宮鏡で摘出することになります。

卵管検査

卵管の通りを見る方法は前述の「子宮卵管造影」や「子宮鏡検査」でも出来ますが、
卵管の働きは想像よりも繊細です。
例えば、卵管の中には微繊維が沢山あり、ホルモンの変化によって
微繊維の動き方が都度変わる事により、卵子・精子、そして受精卵を
目的地まで運んでくれます。
この、細かな動きを一つ一つ観察する事はとても困難で、
例えば上記二つの検査時に行われる生理食塩水の注入は、
医師によって物理的に力を加えられるため、
微繊維の不具合に関しては診断できないのだそうです。
フクザツ。。。( 一一)

そして、筋腫や腫瘍などの中でも子宮鏡で処置が出来ない場合には、
腹腔鏡を用いての外科処理が必要となります。
例えば・・・
大きな筋腫:
   妊娠中に筋腫が大きくなった場合、
圧迫され緊急な状況になるリスクがあります。
実例として、IVFの新鮮移植を考えていた方がいらっしゃいました。
ただ、事前の検査で9 cmの筋腫が見つかりました。
摘出をする必要があったため、予定をしていた新鮮移植から冷凍移植に計画を
変更されました。
**人によって、筋腫は半年程で再発し元の大きさになってしまう事もあるため、
移植直前に治療した方が無難と判断されました。
卵巣腫瘍:
こちらも妊娠中に悪化や、破裂が起きてしまい、緊急状況になる可能性があります。
筋腫と同じように移植前に吸引したり、摘出する方針になります。
Hydrosalpinx (卵管水腫):
卵管に水が溜まり、逆流することによって着床の邪魔をしてしまう可能性があります。
移植前に卵管にクリップをし、水の逆流を防ぐ処置を行います。

折角、長い時間をかけて授かる大切な命、
ご自身・ご家族・赤ちゃんのためにもできる限りの万全を尽くして、
可能な限り心配事は無いようにしたいですね。(*’▽’)

ご質問やご相談があれば、ご連絡ください!

不妊治療における血液検査尿検査

不妊治療に欠かせ無い血液検査と尿検査ですが
何を検査しているのかご存知でしょうか?
今回は治療周期前の検査と治療中の検査に分けてご紹介しちゃいます!(*’▽’)

男女問わず不妊治療に入る前に、必ず採血をされますが
治療に入る前の検査自体の内容は、治療方針によって異なってきます。

タイミング療法の場合、治療前に卵巣機能と精液の状態を確認する事だけが
必須事項となります。
医師によって卵管検査HSG*1を案内されている場合もありますが、
患者さんが卵管疾患のリスクを持っているようでなければ
ウチのクリニックでは特に実施のご案内はしていません。

卵巣機能はAMH*2 (卵巣年齢) とE2 (女性ホルモン-エストラジオール) 、
そしてFSH*3 (卵胞刺激ホルモン)の値を見るのが一般的で、
理想的な数値は、<E2が50以下><FSHが10以下>です。
AMHの値は、年齢が増すにつれて下がるのですが、
もちろん著しく低くなければ妊娠できるは可能性は残ります。✨(^^♪
ただAMHが低い患者さんへはタイミング療法で時間をかけるよりも
さっさとIVF治療を受けるように勧められる事が多いです。
これは、年齢が増すにつれて卵子の量と質共にも下がってしますため、
治療のステップを早めないと卵巣が待ってられないという理由からです。

上記の他に私がお勧めする血液検査項目は、
TSH*4 (甲状腺の機能)、Prolactin (プロラクチン)、ビタミンdです。
これらの結果が異常な場合、
経口剤のやサプリで修正可能ですが効果が出るまで
通常1ヶ月ほど時間がかかる事が多いので早めに検査して置いて損は無いです。
( ..)φメモメモ

そして、タイミング療法の最中に行われる必須検査として、
排卵前に超音波検査が行われます。
(排卵後の超音波検査や血液検査も行われる場合がありますが、
不要と判断される場合もありますため、
心配でしたら担当医師に確認してもいいかもしれません)
因みに妊娠検査は、生理が予定日に来ていない場合初めて行います。🤰

IUI (人工授精) の場合、卵管疾患にもう少し気を配ります。

特に男女共に尿検査でクラミジア抗体が無い/クラミジアに感染されていない事を
確認しておきたいです。
その確認する事で避けたい状況は以下の二つです((((( ;゚Д゚))))):
感染された子宮頚からクラミジアをIUIのカテーテルの挿入のせいで
卵管に持っていく事

クラミジアに犯された卵管のせいで子宮外妊娠をさせてしまう事

IUI治療中は特にタイミング療法と変わりなく、
排卵の超音波検査を行い、生理が予定日より遅れた際に妊娠検査を行います。

IVF体外受精をする方は、
治療に入る前に男女共に感染症スクリーニングをする必要があり、
体外受精のラボの安全の確保のためにHIV、HTLV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒などに
感染されていない事を確認します。

妊娠する場合は、風疹の免疫や自己免疫異常が無い事を確認します。
自己免疫がある方は繰り返し流産してしまう可能性もあります。
例えばAPS*5を患っていらっしゃり自己抗体が異常に高い方は、
微血栓が出来やすい状態で繰り返し流産する原因になります。

そこでヘパリンなどの注射によって血栓を防ぎ、流産を防ぎます。

前述のTSHやProlactinなども検査も必要です。
「TSH甲状腺刺激ホルモン」の値が高く、「甲状腺ホルモン」の値が低い場合は、
SynthroidやLevothyroxineなどの甲状腺ホルモンを経口で摂取し、
Prolactinの値が高い場合はBromochriptine (ブロモクリプチン) を摂取し正常値まで
下げる必要があります。
甲状腺もProlactinもここ述べている内容よりも複雑となりますので、
状況に応じて内科や外科の治療を受ける必要がある場合もあります。

IVFの周期に入ると卵胞の育ちとEstradiolの値を
通院する度に確認することになります。
薬の影響で上下するEstradiolは、
卵胞の育ちの調子を教えてくれる一番信頼できるホルモンとも言えます。
卵胞の成熟につれてLHが急激に高くなり、排卵の時期を見計らうのです。
まさにホルモン検査結果を「読み」、注射薬を調整しながら採卵に最適な日にちと時間を決めているのです。

どんな治療をしていても、
『面倒だなぁ・・・( ;一一)』『なんでこんな事。。。(; ・`д・´)』と
思われる事もあるかと思いますが、
ご自身のため・ご家族のため・そして目指すゴールの為にも
めげないでいただければと思います❕

医師は、もちろん私たちも、精一杯サポートさせていただきます。( *• ̀ω•́ )b グッ☆

*1: HSG (Hysterosalpingograohy):子宮卵管造影
*2: AMH (Anti-Mullerian Hormone):アンチミュラー管ホルモン
*3: FSH (Follicle-Stimulating Hormone):卵胞刺激ホルモン
*4: TSH (Thyroid Stimulating Hormone):甲状腺刺激ホルモン
*5: APS (Antiphospholipid Syndrome):抗リン脂質抗体症候群

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Genetic Testing

Genetic testing (染色体検査)と言っても
具体的医に何をどんな検査するものなのか『ピンッ💡 』と
来ない方が多いと思います。
そこでわかりやすく実例を交えながらご紹介いたします。

PGS: Preimplantation Genetic Screening (着床前スクリーニング)

その言葉通り、着床する前に赤ちゃんの染色体異常をスクリーニングする事です。
一般的な検査で、どの患者さんでも受けられますが、
特に女性が35歳以上のカップルが良く受けられていらっしゃいます。
また、流産を経験した方で次の流産を事前に防ぎたい場合や
性別を予め知っておきたい場合には必ず受けていただく検査でもあります。

人体の全ての細胞核は、
22対の常染色体と1対の性染色体の合計で23対の染色体を持っています。
性染色体は二種類の組み合わせでXYが男性XXが女性となる様に
体の造りをプログラムしています。
また、常染色体もそれぞれの対で異なる担当をして体のプログラミングをしています。
この「23対」という数字が一つでも多かったり、
少なかったりする場合、染色体異常とみなされます。
そして、それが不妊や早期流産の原因となり、無事出産できたとしても、
赤ちゃんが身体や知的障害を持った状態での出産となる原因となります。

体外受精をされる方は、
胚を子宮に戻す前に胚の染色体検査をする事によって異常の有無の確認ができます。
それにより、殆どの医師は「異常のある胚(aneuploidy)」を避け、
「正常の胚(euploidy)」のみの移植の分別が可能となります。

検査の方法として、各染色体の重さを計り、正常のものと比較します。
一本多い場合は「trisomy」、 一本少ない場合は「monosomy」と呼ばれます。
その他、染色体が部分的に欠損していたり部位の転移がある場合でも
同検査で確認が可能です。

因みに良く知られる染色体異常として、
ダウン症 (21対が一つ多い染色体を持つ21 trisomy)、18 trisomy、 13 trisomyや
Turner 症候群(Xが一つ欠損している45X0)などがあります。

染色体異常は、女性の年齢が35歳から年齢が上がるにつれて症例は多くなり、
特に40代になると確率として80%にも達すると言われます。

PGD: Preimplantation Genetic Diagnosis (着床前診断)

こちらはパートナー間で局部に遺伝子異常がある事を分かっている場合、
その部分のみをターゲットとして胚に同じ異常があるかどうか確認する方法です。

この診断の前提として、パートナーのどちらかが
常染色体優性の遺伝子異常を携帯している
か、
二人とも同じ常染色体劣勢の遺伝子異常を携帯している場合のみ検査が受けられます。

アジア人には少ないですが白人の方ではcystic fibrosis (嚢胞性線維症)などの遺伝子を
持っている方が良くみられます。

ここで実例ですが、無精症の白人男性がcystic fibrosisの遺伝子携帯者で
実はパートナーの方も同じ遺伝子異常の携帯者だと判明したケーズがありました。
そのカップルは、体外受精をし、PGDを行う事により
cystic fibrosisの遺伝子を持たない胚のみ移植することができました。

もう一つの実例として、男性側の家族の女性に乳癌を患われる方が多く、
男性自身もBRCA遺伝子が変異している事がわかったカップルがいました。
BRCA遺伝子の変異は、確実に乳癌のチャンスを高める原因で、
Autosomal Dominant (親の一人からでも受け継いたら病気にかかるチャンスを持つ)
でもあります。

*有名なアンジェリーナジョリーもこの遺伝子変異が分かっていたから、
癌となる事前に手術していましたね。

このカップルは、3回のIVFをした後、
8個の胚をテストにかける結果となりました。

科学が進歩し、以前は未知だった遺伝子の欠損をわかる様になって、
難しいプロセスを歩む事になったカップルもいます。
ただ、その一方でまだまだ不妊に悩むカップルは多く、
健康的な次の世代を確保する事が私たちの使命であると感じます。

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妊娠検査のタイミング

妊娠検査をタイミングについては、今回のお話の後半から。。。

まずは、今はネットや一般の薬局でも身近な所で購入する事が出来る・・・
『妊娠検査キット』についてのお話・ご紹介をさせてください。🙇‍♀️
皆さん、ご存知の通り、殆どの検査キットは、
尿のbetaHCGと呼ばれるホルモン値を計ることによって、
陽性 (+) か陰性 (-) の確認ができます。

妊娠検査キットが普及され始めた数十年前、
製品自体、最初は理科の授業で使う様なリトマス紙みたいな
簡単なペラペラのスティック型の紙でした。

今でも病院やクリニックなど、コスト面などもあり、
大量に購入する所ではこのタイプが多く使われています。(^^)

一方、家庭用として販売されている検査キットに関しては、
近年、色々なデザインや使いやすさ追求された商品が多くあります。
ただ、どの製品の説明書きで必ず記載されている事として、
“尿をかけた1分後 (製品によって多少の前後あり) にチェックをする様に・・・”
あります。
ただ、この説明が記載されている時間よりも長く放置してしまうと
実際には『陰性』でも徐々に陽性の印になってきてしまう事もあるの要注意です❕❕

Σ( ゚Д゚)

そこで、少し面白い商品を見つけたので、ご紹介させていただきます。🎵
従来の検査用紙にジワリジワリと結果が浮き出てくる代わりに👻
デジタル画面で陽性 (Pregnant) と陰性 (Not Pregnant) と表示される仕組みです。🤖
ジダイデスネー(-_-)

もちろん、正確性は従来の製品と同等で変わらず99%
(検査するタイミング等により変動します)、
デジタル画面で的確に結果が表示されるため、
時間を置きすぎて結果があいまいに見えてしまう事もありませんし、
待機時間もカウントダウン式で画面上に表示されるので、結構分かり易いです。😆

因みにアメリカのAmazonではここから商品概要が見れます。

・・・っていうか、妊娠検査キットってどのタイミングで使うもの❔❔

一般的に尿検査でbetaHCGが感知できるのは生理予定日の後からになります。
つまり排卵後2週のタイミングです。( ..)φメモメモ

因みにクリニック等で血液検査をすれば、
もっと早い段階でbetaHCGの値を確認できます。💉
特にIVF治療で胚移植を終わらせた後の8日目以降から
血液検査で陽性か陰性か確認する事ができます。
この血液検査での判断基準として、
betaHCGの値が5以上であれば陽性と判断されますが、
この程度の数値だと検査キットの結果としては『陰性』として出ることが多いです。

*そのため、早くに結果が知りたいだけでなく、少しでもより正確な結果を知りたい場合には、
お医者さんやクリニックで血液検査を受けてください。

胚移植後8日目の時点でたとえ『陽性』の結果が出たところで安心は出来ません。
10日目にbetaHCGの値が2倍になっていることが確認できる事が必要です。

その後も持病などで早期流産や子宮外妊娠のリスクが有る方は、
上記から2日間 (胚移植後から10-12日) で2倍になっている事を確認する必要があり、
超音波でgestational sac (胎嚢) が確認できる状態になるまで
betaHCG の値を確認する事によって問題の無い妊娠の継続ができているか
判断ができる事になります。

もちろん、このbetaHCG以外にも先日お話をしたホルモン値等の確認も
妊娠の経過観察をするにあたって、同様に重要なことです。
なので、ご自身で検査薬を使って、
『陽性』の結果が出たら、お早めに受診してください。
また、『陰性』の結果だとしても、もし少しでも不安に感じられる点があれば、
その場合もお早めに受診するように心がけてください。

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卵子ドナー

さて、皆さんは『卵子ドナー』と聞いてどんな印象を持つでしょうか❔❔

よく日本人の方からは、
【何かピンとこないけど、マイナス】な印象という事を耳にします。

IVFセンターで仕事をしていると
ドナーを必要とする患者さん達、そしてドナーとなる方達と
接する事は日常茶飯事です。

<どんな時に卵子ドナーが使われる❔❔>

患者さん達が卵子ドナーを必要とする主なケースとして、
高齢や卵巣機能の低下により、
ご自身の卵子では妊娠する可能性が極端に低い場合です。

もちろん、そういった場合、
医師の方から卵子ドナーの利用を考慮するように促す場合も少なくありません。
ただ、やはりマイナスなイメージを持っているためか、
医師から提案をさせていただいても、
なかなか、受け入れてくださらない患者さん達もたくさんいらっしゃいます。
当然、考え方やご事情は、皆さんそれぞれなので、
卵子ドナーに対する考え方に対して、正否はありません。

<ドナー卵子を利用したら、どれだけIVFで妊娠の可能性が増える❔❔>

一般的に40歳を超えると卵子の質が急速に衰えていきます。
また、IVFで作られた胚であっても、遺伝子テストを行った際の結果として、
80%程の胚が不正常である事が統計で確認がされています。

それに対し、ドナー卵子として使われるのは、20代の方の卵子となるため、
殆どの場合、80-90%の正常な胚を作る事が可能となります。
* 一回で採取され`るドナーの卵子は、平均15-25個です。
そのため胚が10個出来た場合、正常な胚を移植できる可能性が高いのです。

因みに正常な胚一つで妊娠できる確率は、35歳の場合、70-80%と言われています。

また、高齢の方の場合の、
他の懸念点として女性ホルモンや黄体ホルモンの値ですが、
これらは子宮疾患(筋腫や内膜症)が無ければ、
人工的に補うことで妊娠の確率は一定に保たれます。
(卵子の質より遥かに簡単な課題だと言えます)

「卵子ドナーを利用する場合、代理母も必要ではないのか」と、
よく『卵子ドナーと代理母をセット』と考えられる方がいらっしゃいますが、
必ずしもセットとする必要は無く、
『卵子提供』『代理母』は、全く別の事だと考えていただければと思います。
( ..)φメモメモ

ドナー卵子を使われる患者さん達の中には、仮にご自身の卵子で無くとも、
『外見にご自身と共通する点があるドナーさんを選び』、
旦那さんの血を引く子を自分で10ヶ月も妊娠すれば、
100%自分の子だと認識できるようになった
❕( ^∀^)」という方がたくさんいらっしゃいます。
他にも『親になれる』という充実感から、
自分と血が繋がっていないという様な意識は、全然しなくなった❕(*˘︶˘*)」
という方もいます。

卵子ドナーとなられる方は、
患者さんのご家族や親友の方などから立候補される場合もありますが、
匿名のドナーがメジャーです。
ドナーの方が匿名を希望される場合、
絶対に個人情報は患者さん達に共有されることはなく、
逆に患者さん夫婦の情報もドナーの方に共有されることもないです。
患者さん達がドナーの方を選択される際に患者さん達に共有される情報は、
ドナーの方に関する以下の内容となります。
・子供の時から成人まで数枚の写真
・身長・体重
・ドナーの方本人と家族の健康情報、人格、学歴、趣味など

ドナーの方の人種や学歴から値段がそれぞれ違い、
中でもアジア人の学歴の良いドナーさんは、とても人気があり、
とても高くつくのだそうです。Σ( ゚Д゚)

前述のとおり、外見でご自身に近いドナーの方を選んだり、
ドナーの方の経歴など、様々な点に注目したり、
ご自身の経済状況と相談したりするなど、
皆様のご事情に見合ったご決断をされていらっしゃいます。

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男性不妊

例えば・・・『30代後半で結婚して6年経っているけど、子供が出来ません。』と
いう様な、年齢を気にしていたり、妊活をしているにも関わらず、
なかなか、子供ができないといったような、ご相談やお悩みを持って
来られる患者さんは少なくありません。

不妊の原因の調査として、
女性に超音波や血液検査をして卵巣機能を調べることはもちろんですが、
早い段階で合わせて男性側の検査として一度精液検査もするべきです。

例えば、ある30代前半の女性の患者さんで2年間、卵管検査や人工授精を
ずっと試してきた方がいらっしゃいました。
ただ、その検査などを続けて2年後初めて、
パートナーの男性の精液検査で重度の精子不良が判明したというケースがありました。

その夫婦は2年の間、必要以上の検査を受けた最終的な結果に対して、
時間・お金・労力・精神的等に大きな消耗があった為に
夫婦仲が悪くなってしまい離婚を考えるようになったと言います。。。

重度の精液不良の場合、
当然自然妊娠や人工授精を試みても妊娠できる可能性は格段と下がります。

その場合、ICSI (Intracytoplasmic Sperm Injection)という、
精子を採取し、活発な精子を選別し、
選ばれた一つの精子を卵子に人の手で注入させる事で受精率を上げる
治療法が用いられます。

*ICSIで使用される精子は、射精された精液や手術で採取された組織から得ることが出来ます。

また、タイミング療法で来院されたカップルで
男性側の精液検査で精子が一つもなく、
精子を尿道に送る管 (精管) が生まれつき閉鎖している事が判明したケースがありました。
結果、このカップルはTESE (Testicular Sperm Extraction) 手術で
精子を睾丸から取り出し、採取できた精子でICSI治療を受ける事となりました。

「不妊治療」と一言でいうと、女性に対するイメージを強く持たれる方も
いらっしゃるかと思いますが、当然、残念ながら男性側にも原因がある場合も
等しくあります。
当たり前の事ですが、
女性・男性それぞれに都度、適切な検査と治療を受けていただく事が
不妊治療の第一歩です。

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代理母の必要性

ロサンゼルスのIVFセンターで働き始めて、
一番最初に驚いたことは、代理母のケースがニューヨークよりも
圧倒的に多いことです。

アメリカは、どんな事でも州ごとに決まりや法律が異なります。

*カリフォルニア州では、前から代理母が合法となっている事に対し、
ニュージャージー州は一昨年やっと代理母が合法化されました。✨
それに伴って、数多くの患者さんの需要を満たす事が可能となりました。(>_<)

カリフォルニア州では以前より代理母の利用がされていることから、
世界中からそれを求めて患者さんが来ます。

<どのような患者さんが代理母を必要とするでしょうか?>

例えば、
妊娠が安全じゃない
子宮の持病で妊娠できない
高血圧糖尿病や以前の妊娠で合併症を患わったことがある
心臓や腎臓など内臓疾患を持っている
精神的に妊娠や出産に耐えられない
等の女性が必要とされます。

「代理母を使う」と聞くと
敷居が高く感じられる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、
アメリカでは実は全く難しい事ではありません。!(^^)!
注意:日本はもちろん、代理母の利用を違法としている国はたくさんあります。
代理母の利用自体、日本の方にはまだあまり浸透していないですが、
アメリカに住むセレブや中国の方は代理母にかなりオープンです。

アメリカで代理母を利用する際、
特別に身体が妊娠に適していない事などを証明する医師の診断書などの提出も
必要ありません。
その為、例えば持病が無くても【自分のキャリアを続けるため】という理由でも
代理母の依頼はできます。
実際、【妊娠・出産を自分でしたくない】などの理由で代理母を
依頼する方の方が圧倒的に多いです。
また、男性同士をふくめ、同性愛のカップルの多くの方にも
利用者はいらっしゃいます。

代理母を依頼するためには・・・
まず、女性から採卵された卵子と夫の精子と体外受精(IVF)させ、
受精卵(胚)を凍結します。
その後、移植の望める胚が出来たら代理母を探す事となります。
この場合、上記依頼人は、卵子と精子のドナーとして事前に
FDAが厳密に管理する感染病検査をパスしなくてはいけません。

*代理母の依頼人はIntended Parents (IP) 呼ばれます。
*FDA: Food and Drug Administration – 米国の政府機関で「保健・福祉省」。

代理母にかかる費用は、だいたい12~15万アメリカドルと言われていますが、
代理母によっては、もっと高額の場合もあります。

代理母となる方は、出産の経験が有る方であり、尚且つ、
それぞれのクリニックで事前に血液検査や超音波検査で妊娠のリスクが
最も少ないことを証明させられます。
IPの子を10ヶ月妊娠してくれる方なので、もちろん、
IPが心地よく接する事が出来て、信頼できる良い関係が保たれる事も大切です。

IPは、代理母が出産してくださる前に会いに行ったり、
出産に立ち会ったりすることもできます。
また、多くのIPは、妊娠中の節目に代理母へ感謝の気持ちを込めて
プレゼントもあげたりするお話もよく耳にします。

無事に赤ちゃんが産まれたら、IPは必ずと言っていいほど赤ちゃんのアメリカ国籍を
取得してから、代理母にご挨拶された後にやっと自分たちの国へ一緒に帰られます。

代理母の利用に対して、倫理的な面などで否定される方もいらっしゃいますが、
やはりそれを必要とされる方達が多くいらっしゃるのも事実。
その方たちのご事情も千差万別ですが、皆さんのニーズやお悩みに
出来る限りご相談させていただくのが私達と思います。。。

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IVFをするために

コロナの影響で私が勤めるクリニックも1ヶ月間治療周期を一時停止していましたが、
5月から再開する事が決まりました。

IVF治療の再開を待ちに待った方や
コロナによる休暇を利用して新しくお問い合わせをくださってきた方が
たくさん来てくださり、毎日、新周期の再開でガッツリ忙しくなりました。✨
ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε= ━( ^O^)━

治療の再開にどうしても避けては通れない課題として、
どの様にして各患者さん達が接触せず、
そして来ていただいている患者さんや働いている従業員全員が安全でいられるか

です。

まず、以前お話した通り、従業員と来られたすべての方がコロナ感染者と接触が無い事を確認するコンセントフォームをサインして貰います。。。

そんな中、今回2回目のIVF治療を受けに来られたナースのお仕事👩🏼‍⚕️を
されている方がいました。

予め、ご予約のご連絡をいただいた時に
コロナ患者さんと接触されている場合には、
体内の免疫力が下がるため、ホルモン注射をするのはお勧めできないことを
ご案内させていただきました。
しかし、クリニックへいらっしゃった際に、まさにコロナの患者さんのいるICUで
最前線で働いていらっしゃることが判明しました。Σ( ゚Д゚)

ただ、この方も、もちろん他の患者さん達同様に
IVF治療を強く望んでいらっしゃり、
また新規受付の再開を首を長くしてお待ちいただいており、
コロナの患者さんとの接触を控えるために
ご予約当日の一週間前から長期休暇を取っていたのです。
そこで、クリニックにいらっしゃる他の患者さん達の安全も考慮して、
【IVF治療開始から1ヶ月職場に行かない事】と
【コロナウィルスの陰性結果を提出する事】を条件に
治療を開始することとなりました。

この患者さんのように自分の仕事よりもIVFをはっきり選ぶことのできる人は、
ほんの一部だと思います。
実際、他にもナースのお仕事をされている方達も含め、
ご自身の職場を離れることが出来ずに、
受けたいはずのIVF治療を延期している方達は、たくさんいらっしゃいます。

クリニックとしても治療が必要な方に
出来るだけ早くサービスを提供したい一方で、
クリニックに関わる人達全員の安全を確保する責任も、当然あります。

私が担当させていただいる国外から来られる患者さん達が
コロナが落ち着いてからどのタイミングで皆さんが完全に安心して来ていただける事を
ご案内させていただけるか。。。。
この判断も、私に課せられる課題でもあります。((+_+))

今回のコロナのことで、一つの出来事の多面性を今まで以上に感じました。。(+o+)

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年齢と卵巣機能

先日のお話。。。
40歳の国際線CAさんが初診で来られました。
ここ十数年バリバリの現役でお勤めでいらっしゃったのですが、
リタイアを考え始めた頃にコロナのパンデミックで決意したそうです。
そして、退職を機に自由な時間を使って有意義にしようと思いついたのが・・・
卵子凍結だったのだそうです。!(^^)!

最近まで現役で飛んでいたので✈、まだしっかり休めた感じじゃないそうですが、
最近は決まった時間に寝起きする事に心がけて、体調を整えているのだそうです。
もちろんパートナーが見つかればもっと良いのですが、
取り敢えず、まずは卵子だけでも保存したい!とのことで、
この度、来てくださいました。
アリガトウゴザイマス((((oノ´3`)ノ

超音波検査では、両方の卵巣で合わせて8-9個程の卵胞が見付かりました。

40歳の年齢というのは、実際大きなハードルになります。
平均にして35歳以上になると卵胞の数は、ガクッと減るし、
その上、正常な遺伝子を持つ卵子も同じ頃から激減します。(゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)
・・・とは言っても、超音波で見る卵胞の数は人によってピンキリなので、
8-9個は、40歳のとしての平均以上と言えます。

因みに卵胞が十分に確認できたとしても、
卵胞の中にある卵子の数が十分に無い事もあります。
その場合には、受精卵 (胚) を凍結した方が妊娠の成功率が上がります。( ..)φメモメモ
(胚凍結のリカバリーは99%ですが、
卵子凍結のリカバリーは90%程だと言われています。)

*リカバリー:凍結後に解凍され、無事に活動再開可能となる事

今回の患者さんは、その事を既にご存知でした。
そして、なんと、その場合に備え、ドナー精子もご購入済みとの事❕❕
ここまで、準備の良い患者さんは、なかなかいらっしゃらないです。

そこで彼女の心配する事を整理・説明・相談した結果、
卵子凍結する事だけを選びました。
恐らくは2回の治療周期が必要になりますが、
素敵なご縁♡がありパートナーと一緒になった時を考え、
出来るだけ、ドナー精子は使わない方針をお勧めしました。

<最近は、今回の患者さんだけに関わらず、主に40歳前後の方が特に多く、
IVFや卵子凍結を本気で考えていらっしゃる様に感じられます。>

35歳未満でIVFを検討されている患者さん達はそれぞれのご事情・お悩み
(男性不妊や早くから妊活をしていたが成功しないなど)をお持ちの方が多いですが、
40歳に近い患者さん達の殆どが理由の有無に関わらずIVFを考えています。

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❣ここで豆知識❣
①<35歳以上の方で不妊にお悩みの女性の場合、
両方の卵巣合わせて、卵胞の数が5個以下の方も稀ではありません。>
そのため、お悩みでしたら、お早めにクリニックへご相談ください。🏃‍♀️

②<40歳での胚凍結をされる場合、
着床前遺伝子検査の結果で正常率は、ズバリ20%だそうです。>
出遅れてしまったんじゃないかとご心配でしたら、多めに胚を凍結する事によって、
遺伝子が正常且つ健康な胚に当たるチャンスを増やす方法が用いられます。🎰
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日本でも卵子凍結を積極的推奨されているクリニックが多数有りますが、
個人的にアメリカの女性の方が年齢に関わらず実際に実行に移すなど、
より意識している感じがします。
その中でも特にニューヨークのマンハッタンやLAのビバリーヒルズ近辺では、
より若い内(20代)に卵子凍結を考えている患者さんが多い気がします。

ご質問やご相談があれば、ご連絡ください!

“トリガーショットのタイミング” と  “LH surgeと女性ホルモン”

Q. トリガーする最善の時期はいつ❔(*’▽’)
A. この前のブログでは、卵胞が18から25mmのサイズになった時と言いましたが、
正直、初めての患者さんには、大体の感覚で伝えています。

・・・というのも、やはり人によってベストなタイミングはマチマチで、
そのベストなタイミングを見計らうのにも観察が必要になります。( ..)φメモメモ
例えば・・・、
一般的に若い患者さんの方が卵胞を大きく育てても体内で維持できますが、
高齢になるにつれて18mm以下の大きさでも体内での維持ができずに
排卵してしまう方がいます。
年齢が上がっていくにつれて生理周期が短くなるのと同じように、
排卵までの日にちも短くなる傾向があります。
そのため、少し高齢の方には早めのタイミングでトリガーをするよう
ご案内しています。

前に治療をしたことがある患者さんなら、前周期と比べて改善点を見つけつつ、
ちょっとずつ薬を変えたり、トリガーのタイミングを変えることも大切です。👨‍🏫
経験を積んできた患者さんの中には、
Premature Ovulation (卵胞が未熟な状態で排卵してしまう事) してしまったケースに
かなりの理解を示す患者さんも出てきます。
「こんなに早くに排卵してしまったなら、質もよくないわ( 一一)」とか。。
ご自身の事をいい意味で十分に理解しているのですね。。

卵胞以外でどんなことからトリガーのタイミングが分かるのでしょうか?

それは、ズバリ「女性ホルモン (= Estrogen / E2)」の値です!
女性ホルモンは、“毎回通院したときにテストするべきだ”と言っても
過言ではありません。
女性ホルモンは、卵胞が育つにつれて上がっていくものですが、
その上がり方もトリガーのタイミングの大切なヒントを与えてくれます。
採卵直前だと、通常、1個の卵胞から200程の女性ホルモンが分泌されているのです。
それにも関わらず、例えば5個の卵胞が超音波で見えているのに
女性ホルモンが300 (通常であれば、1000程あるべき) 程度しかないようだと、
5個の中に使えない卵胞があってもおかしくありません。

女性ホルモンの値の上がり方が安定しておらず、
逆に急に上がったりする時も要注意です。
そのような時は、卵胞ではなく機能性シスト (無卵子) の可能性が高くなります。

*シスト:見た目が卵胞に似ているが卵子を含まない。
その中でも女性ホルモンを分泌するものを「機能性シスト」と呼ぶ。

女性ホルモンの値が安定しなかったり異常がある場合、
採卵の予定を決める時に予め患者さんに卵子が入っていない疑いがある事を
先に伝える医師が多いです。
これは、採卵後に卵子が取れなかった時のクレームを最小限にするためです。
(因みに私の現在のボスは、患者さんに事前に伝えません。
この理由は、後日改めてお話させていただきます。)

話がそれてしまったのでトリガーの話に戻します。。。(-ω-)/
トリガーを行うとLH surgeが起き、女性ホルモンはグンと下がります。
自然周期で採卵をする場合、この女性ホルモン値が最もカギを握るのだそうです。
LHがぐっと上がり、女性ホルモン値がまだ高い場合は、
採卵を行うのを一日様子を見る事が多く

LHがぐっと上がり、女性ホルモン値が半分に落ちた場合は、
即日で採卵をするべく、患者さんに緊急に来てもらいます

(これまた、私の現在のボスはしない事です。
高刺激での治療に慣れている医師は、刺激ホルモンと排卵抑制剤とトリガーショットを
バンバン使っているので、この微妙なホルモンの差は見ない時が多いです。)

青い線がLH で ピンクの線が女性ホルモン です。

*LH (黄体形成ホルモン):排卵を促すホルモン

次は敏感な話題、高刺激OR低刺激について私の見たことを
少しお話しようと思います。

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